売買契約と公正証書

土地、建物の売買契約をしましたが、相手方はこれを公正証書にしようと言います。契約を公正証書にするにはどんな手続が必要でしょうか。また、公正証書にした場合と、そうでない場合とでは、どのようなところに違いがでるのでしょうか。
売買契約とか金銭消費貸借契約などについて公証人が作成した証言が公正証書です。この証言を作成する公証人といいますのは、公証人法という法律に従って、一定の資格のある者について法務大臣が任命した者で、実質は公務員だと考えてよいでしょう。公証人は公証人役場におります。この役湯は、各都道府県の県庁所在地の法務局または、地方法務局の管内にありますが、地方では、裁判所や法務局とだいたい同じ場所にあります。
公正証書というのをもっとくわしく定義するならば、売買契約とか賃借契約などの法律行為やその他私法上の権利に関する事実について作成した証書だということになります。この証書の原本は公証役場に保存されます。その点て安心です。また、公正証言の作成を嘱託した者はその正本の交付を請求できますし、その謄本は、証書の趣旨について利害関係を有する者も、そのことを証明してその交付を請求できます。

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遺言の場合は、本人が証人二名と同伴して、公証役場にゆけばよいのですが、売買契約などのように相手方のある場合には、当事者全員が公証人役場にゆきます。本問の揚合には、当事者と相手方と二人でゆかねばなりません。その際、公証人と面識がない当事者は、各自印鑑証明書一通を呈示して、本人であることを証明しなければなりません。当事者は、契約の内容を公証人に伝えます。そうすると公証人は、契約内容について法律的に検討し、誤りや違法な点を正して、しかも、その内容を法律的表現にかえて証書を作成します。公正証言を作成してもらうのには、手数料を払わなければなりません。
なお、病気のため、公正証書遺言などをつくるのに公証役場まででかけてゆくことができない場合には、日当や旅費などを負 担して、公証人に出張してもらうこともできます。この場合の手数料は普通の場合の五割増しになります。
公正証言の作成を依頼するのは本人に限るというわけではありません。代理人によってもすることができます。例えば弁護士や司法書士や不動産業者に作成を依頼してもいいわけです。代理人に出頭してもらう場合には、本人の印鑑証明書のほかに、契約内容を記載した公正証書作成の委任状と代理人の印鑑証明書一通を添えなければなりません。もっとも、代理人が公証人と面識があればこの印鑑証明書は不要です。
このような手続で公正証書を作成することができますが、それならば、どのような理由から公正証書を作成するのでしょうか。
まず証明力(証拠力)が強いということです。本問のような売買契約は、当事者の合意だけで成立します。しかし、あとで紛争が生じたりすると困りますので、契約成立の証拠とするために契約書を作成します。普通はこれだけで十分証拠力があります。ところで、そういう合意はしなかったとか、その部分は偽造したものであるとかの争いが生じたときに、その立証をめぐって困難な問題を生ずることも場合によってはあるものです。その点、公正証書は公的機関が作成したものですから、この内容のとおりであるという強い証拠力を有するものです。そういうことを考慮して作成するのです。
このことと関連していえることは、証拠として保存しておくうえで大変安全なことです。つまり、公正証書の原本は30年間保存されますから、その点は安心してよいわけです。
公正証書を作成する最大の効用は、強制執行認諾文言付のものは債務名義となって強制執行をすることができることです。ふつうの契約書ですると、裁判所に訴えて判決をもらったうえでないと強制執行をすることができないのが原則です。それだけ手数と時間かかかります。その点、公正証書を作成しておけば、相手方が債務を履行しなかったときにすぐ強制執行をすることができて大変便利です。ただ、どんな場合でも強制執行をすることができるのではないことを注意すべきです。第一に、強制執行を受けても異議がないということを記載していないといけません。強制執行認諾文言付といったのはその意味です。第二に、すべての債務について強制執行ができるのではないということです。金銭の支払債務に限られているのです。したがって、家屋を明け渡せとか土地を引き渡せとかいったような債務については、公正証言による強制執行はできません。本問でいいますと、売主の方は代金を払えという債権をもっておりますから、公正証書を作成しますと、買主が支払をしなければ、それによってすぐ強制執行をすることができます。それに対して買主の方は、そのもっている債権が土地、建物を渡せという内容のものですから、公正証言によって強制執行をすることができません。ただし、この契約で、もし売主が期限に土地、建物を渡せないときは違約金として80万円を支払うということを取り決めていたとしますと、買主は金銭債権をもつことになり、それについて公正証書による強制執行をすることができます。世間には、公正証書にするとどんな債務についてもすぐ強制執行をすることができるように思っている人もいます。それはここでみてきたように誤りですから十分注意しなければなりません。
以上が、公正証書を作成した場合のもっとも大切な効力と考えてよいでしょう。そのほかにも公正証書には、確定目付の効力があります。確定日付というのは、文書成立の日付を立証する必要のないものをいいます。内容証明の郵便などがこれにあたりますが、公正証書もこの効力をもっているのです。
公正証書にすることには以上のような利 点がありますが、これを作成する手続が面倒でないこともまた、費用が安くてすむことも、公正証書が多くなされる理由なのです。

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