用途制限のある土地売買

用途制限という語は、狭い意味での用途制限、つまり、用途地域、地区制または地帯制のことで、これは、都市における土地の利用区分、すなわち、地域、地区別に建築物の建築規制をおこなうことによって、各種の建築物が混在することの弊害を防ぎ、土地の合理的利用をはかろうとする制度で、都市計画区域内においておこなわれます。し かし、土地についての民法以外の法律による利用制限は、別に用途制限にかぎられるわけではなく、このほかにも、多種多様の土地利用制限があります。したがって、土地の売買の場合、その土地にどのような利用制限があるるかを調査することが必要で、特に住宅や工場と建築するための用地として買い入れる場合には注意しなければなりません。そこで、ここでは、狭い意味での用途制限ばかりでなく、広く土地利用制限という観点から、各種の行政法上の利用制限を概観しておきましょう。

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土地

土地利用制限を大別しますと、都市計画区域内の土地について適用される利用制限と、都市計画区域内の土地であるかどうか にかかわりなく適用される利用制限との二つがあります。
第一は、道路、公園、広場などの公共施設(都市施設)の建設予定地に課せられる利用制限です。利用制限を課する趣旨は、これらの都市施設の建設予定地を私人の無制限な利用に任せると、建設事業を行ううえで障害となるおそれがあるからです。都市計画決定段階での制限と都市計画事業決定段階での制限とを比較しますと、後者の方が前者よりも厳しい制限になっていますが、これは要するに、両決定の差異によるわけです。つまり、都市計画決定は、いうなれば将来計画の決定にすぎないのに対し、都市計画事業決定は、都市計画決定による都市施設の計画(建設予定)を実現するための事業決定であって、事業執行が現実にさしせまってきているからです。
第二は、市街地の開発事業や再開発事業の予定地についての土地利用制限です。利用制限の趣旨は、第一の場合と同様、事業施行の障害となる私人の土地利用をおさえるためです。事業の種類によって、予定地での利用制限の内容に多少の違いがありますが、この制限も、おおむね、都市計画 決定段階での制限、都市計画事業決定段階での制限というように二段階になっていて、後者の方が前者よりも厳しい内容のものになっています。
第三は、用途地域、地区制または地帯制による土地利用制限です。用途地域、地区制の基本となるのは、住居地域、商業地域、準工業地域、工業地域の四つで、これらをさらに純化ないし強化するものとして、専用地区制、特別用途地区制が設けられています。特別用途地区における建築規制の具体的内容は、都道府県の条例で定めることになっています。
以上の地域、地区制と多少趣を異にする防火地域、準防火地域制がありますが、これは、密集市街地の防火という観点から、建築物の種類、構造を規制する制度です。
そして、これらの用途地域、防火地域、準防火地域では、建築物の建築面積の敷地面積に対する割合(建ぺい率)がそれぞれ法定されています。このほか、住居地域では、特に過密を防ぎ居住環境を保全するため、空地地区制が設けられることになっています。
また、住居地域とその他の用途地域とでは、建築できる建築物の高さに関する制限 にちがいがあります。さらに、建築物の高さの最高または最低を法定する高度地区というのがあって、住居専用地区では、第一種および第二種高度地区を指定して、建築物の高さを10メートル以下におそえている場合が多くあります。このほか、敷地の前面道路の幅員との関係で建築物の高さについて制限があります。また、建築物の絶対高 制限のかわりに、建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合(容積率)で建築規模を規制する容積地区というのもあります。そして、建築協定区域というのがあり、これは、その地域の土地の所有権者などが協定によって建築物の敷地、位置、構造、用途、形態、意匠、建築設備に関する基準を定めることができる区域のことです。
以上述べた利用制限は、都市計画区域内にある土地についての利用制限ですが、このほか、国土の保全とその合理的利用を確保、増進するため、都市計画区域内にある土地であるかどうかにかかおりなく、その土地の現況、利用目的などに応じて定められる土地利用制限があります。
なお、特別高圧架空電線などが設置されている土地では、電気設備に関する技術基準を定める省令により、電線と建造物とは一定の距離をおかなければならないことになっています。
民法以外の法律による土地利用制限は、前に述べたとおり多種多様ですから、買主としては、売買契約締結前に、目的物件たる土地にどのような利用制限があるかを、具体的によく調査する必要があります。宅地建物 取引業者は、契約締結に際し、物件に関する都市計画法、建築基準法などの法令上の制限を買主に告知、説明しなければならないことになっていますが、かならずしも正確に励行されているとはいいがたく、したがって、買主自身も、物件所在地の市役所、区役所あるいは町村役場の関係部署(建築課)などに行って調査するようにすべきです。
前述したとおり、各種の利用制限について調査すべきですが、しかし、もれなく完全に調査することは、おそらく、普通一般人には困難かとも思われます。したがって、買主が事前に調査したにもかかわらず目的物件に利用制限があることに気づかずに買いうけてしまうこともおこりうるわけですが、判例は、買いうけた後、建物を建築するときになって、はじめて、その土地に行政法上の利用制限があること、そのために、計画どおりの建物を建築できないことが判明した湯合は、民法五七〇条に規定する「目的物に隠れたる瑕疵ありたるとき」に該当するとして、契約解除、損害賠償請求を認めています。ただし、契約解除、損害賠償請求は、買主が瑕疵あることを知ったときから一年内にしなければなりません。
また、このほか、取引の一般常識からみて、買主としても、かりに、そのような利用制限があることがはじめからわかっていたならば、当然、売買契約を締結しなかったであろう、とみとめられる場合には、その売買契約は目的物の種類、性質などについて重要な錯誤があるわけですから、民法 九五条によって売買契約が無効であると解され、買主は、売主に、目的物件を返還し、売買代金の取戻請求をすることもできることになる、と考えられます。

土地
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