不動産の位置と境界

一つの登記用紙に表示されている土地または建物をそれぞれ一筆の土地、一箇の建物といい、通常、不動産の取引は、この一筆の土地、一箇の建物を単位として行なわれます。ある不動産についての所有権は、その不動産の登記用紙に表示されている範囲の全部に及び、反対に、その範囲外の不動産には及びません。この一つの所有権が対象とする範囲の 不動産を、一箇の不動産といいます。いいかえれば、一つの登記用紙が表示している範囲の不動産が一箱の不動産として扱われるわけです。
それでは、この登記用紙に表示される不動産の範囲はどのような基準できまるのかといえば、通常の取引感覚で一箇の取引対象として取り扱える程度の独立性をそなえた範囲でならば、所有者が登記の申請に際して自由にきめることができます。
例えば、ふつうは、一棟の家屋が一つの登記用紙に表示されますが、所有者が希望すれば、本屋と離れ、物置といった別棟の家屋か二括して一 節の登記用紙上に表示させて、一つの所有権のもとにまとめることができますし、また逆に、一棟の建物を各所ごとに、あるいは長屋の各戸を、別々の登記用紙に表示させて、別々の所有権の対象とさせることもできます。

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土地

未登記の建物については、登記簿を基準に箇数を考えることはできません。この場合は、原則として、一棟の建物が一箇とされます。しかし、所有者が一棟の建物の一部分だけをその部分だけでも独立した建物として取引上扱えるものであるかぎり、他から区別して売買することも、ないではありません。このような場合は、この区別された部分が一箇の建物として扱われているわけですが、この状況は、外部からは必ずしも明白に知りえないことですので、この扱いをそのまま認めては、トラブルの原因となりかねません。したがって、このような取引にあたっては、当面の問題として、売却部分がどの部分であるかを明確に指摘し うるような文書を交換しておくことが大切ですが、やはり、はやく登記をしておかなければ完全とはいえません。
登記されている建物に、登記されていない付属建物がある場合、この付属建物が、独立の建物としての取引価値をもっていれば、登記された建物の一部というわけにはいきません。これはこれで一箇の建物として独立して扱われることになりますが、登記された建物の従物とされます。
これに反して、この付属建物が、本屋と離れては独立の取引価値を持たない便所とか風呂場とかである場合は、たとえ登記簿上に表示されていなくても、登記された建物と一体のものとして扱われます。
土地、建物の大きさ、広さを知るには、まず登記簿を見ることです。登記簿の表題部には土地、建物の表示に関する事項が記載されていて、そこに土地の地積、建物の床面積がそれぞれ表示されていますから、それで知ることができます。しかし、登記簿の記載は、必ずしも正確であるとはいいきれません。
戦前に登記されたままの土地のなかには、登記簿上の地積よりも実際の土地の方がはるかに大きいといった場合がしばしばあります。これを縄延びがあるといいますが、このような土地が分筆されると、元の土地を「○○町○丁目○番地の一として、同番地の二、三、四と順次地番に枝番号がつけられて分離されてゆきま すが、この分離した土地については、正確な測量図の提出が求められていますので、登記簿の表示とその大きさの実際が違うことはまずありませんが、残された○番地の一の登記簿には、計算上の残余部分の地積が表示されているだけですので、縄延びはすべてこの中に残されることになり、登記簿上の地積と実際の広さとがかなりに追ってくる場合があります。
また建物の場合も、登記をした後に増築したり一部を取り毀したりして、全体の床面積が変わっているのに、登記簿上の表示はそのままにしている、といった場合が相 当ありますから、登記簿上の表示を信用してかかることは危険です。さらに建物については、まだ登記がなされていないものも、ときにはあります。このような場合には、現物に当たってみるほかはありません。
土地、建物の大きさ、広さは登記簿で一応の調査はできるとしても、例えば、ある宅地が、正方形なのか丸いのか三角形なのか、また公道に面しているのか、建物が敷地のどの辺にどの方向に建てられているのか等のことは、登記簿上の表示からではわかりません。これを調べるのには、登記所に備えつけてある地図、建物所在図を見ることが必要です。
地図には、各筆の土地の区画が、また建物所在国には、各箇の建物の位置が、いずれも500分の1の縮尺で示されていますので、これを閲覧すればこの事情を知ることができます。しかしこの地図は、登記所によってはまだ完備していないところがあります。この場合は、旧土地台帳付属の公図をみせてもらえば、ほぼ同様のことが判ります、これは尺貫法で600分の1の縮尺になっています。
ある土地と他の土地が接しているところを境界といいますが、この境界は、二つの土地の各範囲が明確であればおのずから定まりますが、一つの土地を分筆することによって新たに境界ができる場合には、その土地の所有者が自由に定めることができます。この境界を明確にするためには、境界線上の適当な箇所に境界標を設けるのがふつうです。境界標には、四角柱状の石を地中に埋めることが一般に用いられますが、これに限ることはありません。特定の樹木を植えたり、現在ある樹本に印をつけてこれを境界標に使うこともみられます。境界標を設けるときは、隣接する所有者が立ち会って位置を確認するのが一般のやり方ですが、この境界標は、あくまで境界を示す目標にすぎず、境界そのものではありません。したがって、もし何かの原因でこの境界標が動かされてしまったとしても、これによって境界が動くわけのものではありません。境界標の位置が誤っていることが判明すれば、当事者双方の協力で正しい位置に戻すべきものです。とはいえ、通常の場合は、境界標は双方の土地所有者が立ち会って位置を確認して設けるものですから、一応はこれを信用することができましょう。正確な境界を発見するには、登記申請書に添付した測量図面に従って、実地を測って検出するほかはありません。こうした方法によっても、所有者間の意見が食い違って確認できないときは、裁判所に境界確認の訴を提起して、裁判所に判断してもら うより致し方ありません。

土地
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