土地の分筆と合筆

登記簿上一筆となっている土地を二筆以上になるように分けることを分筆といいますが、一筆の土地の所有者は、自由に分筆をすることができます。したがって、売却予定の数こまを一斉に分筆することも、買手と契約のできたこまから一つずつ順次に分筆することも、自由にできます。
分筆の登記を申請するには、申請書を提出しなければならないことなど、登記手続の一般原則どおりですが、分筆登記申請の場合に特有なこととして、分筆後の土地の地積の測量図を提出する必要があります。要するに、いままで一筆であった土地を、どこを走る線で、どのような形状での二筆以上のものに分けたいのか、正確に登記官にわかるようにして申請するわけです。
このようにして適法な申請がありますと、分筆の登記が実行されます。つまり、いままで一筆であった甲地のうちの一部が分かれて乙地となって独立したものとして、乙地について新たに登記用紙を開設し、それが甲地から分かれたものであるということがわかるような記載をしますし、新しい甲地(残部)については、地積の変更(減少)などの登記がなされます。特に、いままで甲地について存在していた所有権登記のみならず、その他の権利の登記は、そのまま新しい乙地の登記用紙へ転写されます。

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ところで、法律上一筆となっている土地の範囲は、そのまま現地においても石垣、塀などで物理的に区ぎられて一まとなりになっているのが便利かもしれませんが、このようにすることは、法律上はべつだん要求されていません。つまり、一筆の土地というのは、あくまでも、登記簿という公簿のうえで人為的に区ぎられた一画の土地、地図の上で区ぎられたところを現地に投影して得られるはずの、目に見えない観念的な線によって囲まれた一区画の土地をいうわけです。ですから、現地での造成で物理的な区ぎりまでしたあとでそれに合わせて分筆登記をすることももちろん結構ですが、それ以前に、単なるプランの段階で分筆登記をすることも差支えありませんし、そもそも目に見える物理的区ぎりなどは将来も特別には作る予定がなくとも、分筆手続は自由にできます。また、分筆をしたからといって、その辺の土地をめぐっての所有権やそれ以外の権利に実質的に変更をきたすということも全然ありません。要するに、分筆とは、あくまで公簿上での土地の表示についての、純粋に事務的な変更処分であり、それ以上のものでも以下のものでもない、ということです。
分筆とは逆に、登記簿上はいままで二筆以上になっていた土地について、合わせて今後は一筆にするという手続を、合筆といいます。合筆が、法律上の土地区分(筆)を事務的、人為的に変更する処分にすぎず、現地についての物理的工事などは法律上は全然要求されない、ということは、分筆の場合と同じです。
二筆以上の土地について、同一人が所有者としての所有権登記がなされている場合には、この所有者は自由に合筆できるのが原則です。ただし、若干の例外があります。主なものは左のごとくです。
物理的に接続していない筆は合筆できません。一筆の土地つまり法律上の一個の不動産というのにふさわしくないからです。
所属の宇、都市部では丁目またはそれより大きな行政区域の所属を異にする筆と筆とは合筆か認められません。地目を異にする筆と筆とも合筆が許されません。税務上その他行政事務上に不使や煩雑をもたらすからです。
抵当権、地上権、賃借権など、所有権以外の権利の登記がついている筆は、たとえ所有者は共通であっても、他の筆と合筆することができません。こういう合筆を認めると、新しい一筆の土地のうちの物理的な一部分についてだけ他人のためのたとえば抵当権が存在することになり、それを登記簿上に表示し記載することは不可能ではないにしても、あまりに事務的に煩雑ですし、登記簿を閲覧する利用者にとっても感違いなどの事故を誘発する危険がある、といった理由からだと思われます。
したがって、少なくとも、奥さんや子供さんの名義になっている筆は、御本人の名義への移転登記などをしないかぎり、そのままでは他と合筆できないわけです。
合筆の認められる場合に、適法な申請がありますと、合筆の登記が実行されます。つまり、典型的には、甲地を乙地へ合併するという形になり乙地の登記用紙については、地積の増加その他所斑の変更登記がなされますし、甲地の登記用紙は閉鎖されます。
分筆や合筆の登記の申請手続は、所有者が自分でやってもむろん差支えありません。しかし、登記申諸手続は一般にかなり専門技術的なものですし、特に分筆登記の場合は、現地の調査や測量や、それに基づく図面作成などの仕事もありますので、司法書士や土地家屋調査士の人に依頼してやってもらうほうが、一般には簡単だといえます。

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