不動産オーナーのバランスシートをつかむ

 相続税の節税対策を武器に、不動産の有効利用を活用した取引推進を図るには、まずフォロー対象顧客の財産状況、バランスシートがどんな状況かを知ることが大切である。顧客の立場にたった場合、誰しも自分の相続税はいくらになるか、また相続税の節税方法があるのか、あるとすればどんな方法があるのか、大変関心の高いところである。
 得意先行員がフォローするにあたって、まず顧客の資産構成を知らないことには適切なセールスはできない。
 有価証券、預貯金等、金融資産を中心に多くもっている顧客と、親からの相続財産が多く不動産が大半をしめている顧客ではおのずからセールスポイントが相違するのである。相続税対策の観点から金融資産の多い顧客へは、不動産へのシフトを含めたセールスが必要であり、不動産所有の多い顧客は収益事業の有効利用をすすめる。

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 A君担当のT顧客は相続財産額三億円「内訳、預貯金・有価証券二億、不動産一億(実勢価額二億)」、資産保盲者の高齢(八十三歳)な父親と相続人(妻、子供二人)の四人は相続税が多額になることで悩んでいた。A君は早速賃貸マンションを建設し有効利用を促進し節税を図る計画を提示した。こうすると相続が発生した場合、相続税の概算額は有効利用実行前で約五千三百万円。有効利用実行後は約三百八十万円強。差額が概算四千九百万円程度になる。
 このケースは、まず評価の低い不動産へ金融資産をシフトし、その上借入金により収益事業の有効利用を行なって節税の面で効果を発揮したのである。
 銀行の本計画による成果は次のとおり。融資・T顧客への長期貸金一億六千万円。預金・T顧客から毎月の賃料振込百四十二万、受注した建設会社から三ヵ月定期五千万、受注した設計事務所から三ヵ月定期百万円、火災保険会社から通知預金千万。営業斡旋・建設会社、設計事務所その他設備会社、不動産会社、火災保険会社など。
 このケースだと、相続税の節税額が大きく、T顧客よりは今までなんとかしたいと思っていても実現できなかった事ができ大変感謝され、銀行側にとっても融資・預金吸収、営業斡旋等で得るメリットは大きかった。
 この他、顧客の所有不動産状況により、貸ビルの計画等も大変有利な有効利用となるので、顧客のバランスシートをつかみ、顧客のニーズ、相続税の節税策を生かした有効利用推進により多角的取引の推進が可能になる。

土地
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