不動産賃貸業の経営的特色を生かす

 不動産賃貸業を経営という観点からみた場合、内容的には賃貸資産として最も収益をあげるように利用し、またそれに寄与するように建物本体、諸設備及び供給処理施設等を維持、管理し、改良することである。
 具体的には次のようなものとなろう。
 1. 建物を第三者に賃貸し、収益をあげること
 2. 諸設備、供給処理施設等の維持、管理、敷地内外の保全
 3. 建物の機能向上のための改良
 これらのうち2.、3.は建物のメンテナンスに関するもので、後に詳しくみるのでここでは1.の狭い意味での経営(マネージメント)について検討する。

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 賃貸ビルを例に経営的特色をみるが、まずテナントからみた賃貸ビルのニーズをまとめると次のようになる。
 第一に最近の大都市の都心部の商業地域の地価高騰を見るにつけても、優良企業といえども立地条件の良い中心市街地に自社ビル用地を取得することが困難となっている。一方、情報化社会の進展する中で、企業は各種情報の集中する都心部での事務所保有ニーズは益々高まっている。
 第二に前に述べた通り、地価高騰等により自社ビルを保有し、オフィスを確保するためには大きな投下資金が必要となっている。また、急激な企業成長やOA化の進展、新規事業への展開等により緊急にオフィスを確保する必要が生じても、自社ビル確保は長期計画のなかに位置づけられている場合が多い。賃貸ビルは、オフィスを少ない投下資金で確保するとか、緊急に確保するというニーズに対応できる。
 第三にビル管理には、人件費、物件費等かなりコストがかかる。また特殊技能や資格をもつ人員の確保も必要となる。ビル管理に必要な諸コストの削減を図ることも賃貸ビルに対するニーズの一つである。
 一方、貸主側からみた特色はどうであろうか。
 第一に賃貸ビルは、その立地によって収益性に差がでる。前述の通り賃貸ビルのニーズは中心市街地ほざ強く、したがって賃料も高いことから、当然にこのような立地条件が良いほど収益も大きいといえる。
 第二に立地選定を間違えず、テナント確保の見通しを誤らなければ、長期的投資であるが、収入と支出の項目に比較的変動要因が少ないので、経営的に安定性もあり、またインフレにも強いといえる。
 金融機関としては、以上のような賃貸事業の経営の特色を踏まえて、不動産の有効利用を取引先の経営のなかに位置づけていく必要があろう。

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