オーナーへの具体的アプローチ

 不動産の有効利用の実現を図るためには、その土地の所有者すなわち実権者を探り、交渉し理解、コンセンサスを得なければならない。
 不動産の有効利用に限らず、すべての不動産取引を推進する一番の近道は、まず実権者に当ることである。
 実権のない人に、何度繰返し説明しても、話は進展しない。相手は何の責任も持だない気楽な立場から、こちらの話は長く間いてくれて、適当に合槌も打ってくれるため、話がうまく進展しているような錯覚に陥るから困るのである。
 早期に情報を人手し、何度もアプローチを重ね、感触も良好、目的実現は間違いなし、との見込みが後からアプローチしてきた他行にそっくり持っていかれた、という苦い経験の持主も多いのではなかろうか。
 後の反省では、実権のない人に当っていたために、実権者に話が通じていなかった。また、通じていたとしても、当方の真意、熱意等が伝わっていなかったため実権者と直接話法の他行にやられたというケースが多いのである。
 もちろん「将を射んと欲っすれば、まず馬を射よ」との諺にある通り、実権者の身近な協力者を味方に引き入れておくことも、目的遂行の重要な戦略である。

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 卑近な例で恐縮だが、ご自身が車を購入された経験のある方は思い出していただきたい。セカンドカーは別として、車の利用者は主に、主人である場合が多い。その主人に会うために、車のセールスマンは日曜日に訪問してくる。サラリーマン家庭では、平日訪問しても実権のない奥さんしか会えないことをセールスマンは知っているからだ。
 実権者に会う時の大切なポイントが2つある。1つは、実権者に会うことばかりに気を取られ、その家族とか、部下をないがしろにしないことである。
 前述の車購入の最終決定権は、確かにご主人だが、ご主人がその気になっても、財布は奥さんが握っていたために、奥さんに反対され(例えば予算)、成約できなかったケースも出てくる。あらかじめ、奥さんとの融和、有効策が図ってあれば、少々無理な話でも奥さんは賛成派に回ってくれるかも知れない。
 また、もう1つの大切なポイントは、実権者に会う場合、「一発勝負」の心づもりで臨むべきである。実権者に会う機会は、なかなか掴めない。まず第一印象を良くするための準備、心構えが肝要である。最初のアプローチが、うまく行ったかどうかは、最後まで大きく影響する。「不動産の有効利用」とは、法人、個人を問わず数十年の、ロングランの政策決定であり、一度失敗すれば取返しがつかず、死命を制することにもなりかねない。
 当方が、検討時点で相談相手としてふさわしく、信頼に応えられる人物かどうか諮問されている、との認識に立って十分に準備しておかなければならない。

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