不動産の有効活用は施主寄りの発想が必要

 不動産の有効利用という問題は、個人にとって一生に一度あるかないかの大事業である。借入金額も、数千万円、数値円という額におよぶので、人生最大の問題と言っても過言ではない。それだけに、不動産の有効利用はある程度長期にわたる場合が多い。
 金融機関にとっては、顧客の信用を得ることにより、安定資金の運用ができ、業者取引、テナントとの取引も一括で可能となる。しかし、そのためには、当然それなりのノウハウの蓄積が要求される。

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 旋主 - ゼネコン - 受注業者という取引のライン上で、われわれが最優先しなくてはならないのは施主である。その旋主に対して、最良だと思われるところまでトコトン突き詰めた理解を得る必要がある。
 そのためには、まず最初に基本的なアウトラインを目で訴えなければならない。どんな建物ができて、その何階に入居できるのか。家賃の設定、保証金の額、年間の利息、元金の返済等々の収支見通しはどうか。何年間でどういう形で返済するのか。その間のメンテナンスは。減価償却費、営業利益、税金は。
 こうしたすべての見通しについて目で訴える資料が必要となる。
 しかし、この資料を活用するにしても、直接実権者に面談できなくては意味がない。往々にして、親子、夫婦の間で考え方が大幅に違う場合がある。
 したがって、まず不動産の有効利用について実権者とのすり合せが必要である。しかし、1・2回の面談では、とても本音は問けない。ニーズからウォンツに変えるプロセスで求められるのは、テクニカルな問題ではなく、資産の運用法や税金対策に関して相手の立場に立って、根気よく説明、合意を得ることである。
 実権者に根気よく説明する交渉責任者は、役席者が望ましい。
 相続税問題や事業承継問題をはじめとして、子息の入学、結婚という問題もからんでくる。
 これらはいずれも一朝一夕には解決できない問題である。日頃の預貸金取引の有無にかかわらず、真摯な態度で率直にアドバイスをしないと、とても顧客の理解は得られない。なおかつ、一度決定した後で部分修正をしたいとか、場合によってはマンションからオフィスビルに変えたいという大幅な変更も出てくる。
 こうした問題についても、いとわずに逐一、顧客のニーズに沿い顧客にとって最良のかたちをアドバイスすることが、次の商売に結びつくという基本的なスタンスが必要になる。
 このことが、長期的に波及効果をもたらす最大のポイントである。
 受注業者の新規取引に目を奪われて、施主の信用を損ねたのでは結果的にマイナスである。入居者が思ったように集まらないとか、建築後1カ月で雨漏りがするという悪い噂は千里を走る。われわれのお客様は施主であるということを肝に銘じて、不動産の有効利用を推進していきたいものである。

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