貸事務所ビルの特徴と推進ポイント

 オフィスビルと一口に言っても、その形態や用途はさまざまである。最も一般的な有効利用形態であるが、立地条件、市場性によって制約を受けるので、企画に留意する必要がある。
 ここでは、テナント一社当りの使用床面積の観点から見てみよう。
 事業主の立場で考えると、1つのテナントがフロアーで借りてくれれば、しかもそのテナントが信頼できる先であれば楽である。
 1つのフロアーに1社である場合と、1つのフロアーに5社が入っている場合を比べてみればわかりやすい。
 賃料の取立てや管理の問題だけでなく、間仕切り工事や設備の数という点でも大変な違いである。
 しかし立地条件によっては、そのようなぜいたくは通用しない。細かく間仕切りをして賃す方が事業として成り立ちやすく、テナントも付きやすいということがある。問題はフロアー貸を前提に建物をつくった場合、設備(水道、ガス、空調、窓、排水管の芯)面で制約を生じるため、間仕切りにも限度があることである。
 大体このようなオフィスはきわめて使いにくいものと相場がきまっている。

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 一般には大きな企業にフロアー単位で貸す方が、効率的ということになっているが、空室となった場合のリスクを考えると逆である。テナントの数が多ければ1度に数社が出てしまうという例は稀であり、収入減の影響も少ない。フロアー単位で大手企業2〜3社に貸している場合は、1社が他のビルヘ移るような事態が生じると、収入が半減することも起り得る。
 テナントが多数になると賃料の取立てや管理が大変になることは間違いないが、オフィスビルのテナントは一般的に法人が多く、賃貸マンションに比べれば楽である。
 また、空室が生じ新しいテナントに賃貸する場合、その時点の相場の賃料、保証金等で貸すことができ、これは既存のテナントとの賃料改訂交渉には有利な材料ともなる。したがってテナントは複数で、多少入退居がある方が収益的には良い結果を生むことが多い。
 しかし、貸ビル業は長期的な観点に立って経営を行う必要があることも事実である。とくに建物は構造的にはもちろん、機能的にも、また外観の面でも長期的使用に耐えるものでなければならない。近くに新しいビルができたら、テナントがどんどん移ってしまうというのでは、長期安定経営は覚束ない。
 最初は余分に金がかかっても、フレキシブルな対応が可能なビルを建てておく方が良い。テナントの問題はビル経営の命であり、その意味では一定の割合の部分は、安定的、長期的なキーテナントを確保しておくのが絶対条件といえよう。

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