建物の賃貸借契約

 建物の賃借権は、借家法によって特別の保護を受けています。賃貸借契約によって契約をしても、それが借家法に定めるところより借家人に不利な契約条件であれば、無効とされます。したがって、ここでも、主要な契約条件について借家法による規制を中心に説明します。

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 借家法上、存続期間の定めはありません。したがって当事者の間で自由に定めることができます。通常、アパートを借りる場合、二年契約が多いようですが、一年でも五年でも約定してよいのです。期間の定めをしない契約もまた有効です。
 存続期間を定めなかったときは、家主は、自己使用その他の正当な事由がある限りいつでも解約の申入れをすることができますが、その解約の効力が生ずるのは、それから六ヵ月後です。しかし、この期間がすぎても家主の方から異議が述べられないと、解約の効力はなくなり、従前と同一条件で契約をしたものとみなされます。
 期間が定められているときは、家主は、正当の事由がある限りその満了前六ヵ月から一年の間に解約の申し入札をすることができます。この時期を逸したり、または申入れをしながら期間満了後借家人に対して異議を述べないでいると、契約は従前どおりの条件で更新されます。
 借家人は、特約がない限り建物の増改築を行なうことができません。なお、この種の特約は、きわめて例外的です。建物の修繕は、家主の義務です。借家人がかわって建物の維持に必要な修繕を行なったときは、その費用を家主から償還させることができます。もっとも、修繕やその費用負担について特約をすれば、それは有効です。建具やたたみのとりかえなどを理由として敷金の一〇〜二〇%の償却を定めることがありますが、これは民法上では本来家主が負担すべき費用を借家人に転嫁するための特約です。
 地代家賃統制令の適用のある古い小さな建物を除いて、家賃の額は自由に定められます。支払時期は、特約がない限り月末です。
 家賃の増(減)額の要求については、地代について述べたところと同じです。なお、契約期間中増減しないという特約は有効です。
 契約締結に際して、借家人がかなり多額の金銭をさまざまな名目で家主に支払うことが、実際上少なくありません。そのうち、敷金または保証金とよばれるものは、契約終了の際に借家人の負う債務を担保するための預り金です。家賃の未払分や、建物の異常な損傷の賠償金などにあてられるのが本来のたてまえです。しかし、建築資金を調達する方法として敷金の慣習を利用する家主も少なくおりません。銀行から短期の融資をうけてアパートを建築し、入居者から敷金をとって銀行への返済にあてるというやりかたです。敷金には利息をつけず、担保も提供しないのがむしろ慣行ですから、家主にとってはきわめて有利な金融手段となります。高額の敷金をとって家賃を安くすることもよくありますが、敷金の利息を計算にいれると決して家賃は安くないはずです。敷金の一部償却も、しばしば当然のことのように者えられていますが、前述のように特約があってはじめてみとめられるものです。この特約も、償却額があまり大きい場合は、暴利行為として効力を否定されることかあります。
 権利金は、借家権の対価という性格をもちます。したがって、契約が終了して借家権が消滅したとき、借家人に返済する必要はないのですが、借家権が存在している限り、事実上借家人の地位を強化するはたらきをします。たとえば契約期間中に借家契約を合意で解約しようとするとき、借家人は、借家権の買いとり(すでに支払った対価の返還)を要求しやすくなります。また、家主は、借家人が第三者に借家権を売却して投下した資金を回収することをみとめざるを得ない立場にもなりからです。そのため、実際上、権利金の名目による金銭の授受は少なくなり、その代わりに礼金の授受が多くなりました。
 礼金とは契約を締結してもらったことへの謝礼というほどの意味で、借家権の対価ではない、という趣旨ですが、金額からみればまさに権利金にかわるものとして授受されていることが明らかです。住宅難が解消すれば成り立だない需給のアンバランスから生ずるプレミアムにほかなりません。なお、宅地建物取引業者の仲介報酬は、これとは別に業者が請求するものです。
 契約にあたっては、契約期間中の総家賃額に敷金利息分、敷金償却分、権利金または礼金その他の家主の利得を加えて実質家賃を算出してみることが必要です。

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