不動産とは

 不動産とは厳密に考えるとかなりむずかしい問題ですが、実際上は、不動産とは土地と建物のことだとわりきって考えても、ほぼまちがいありません。民法は、「土地及ヒ其定着物ハ之ヲ不動産トス」といっていますが、土地の定着物の主要なものは建物ですから、以下、不動産について考える場合、土地と建物を念頭におけばよいでしょう。
 ところで、民法の規定は、不動産とは土地と土地の定着物であるという定義を示すだけでなく、「土地」と「土地の定着物」はそれぞれ別個の不動産だ、ということも明らかにしています。すなわち、建物は、その敷地である土地から独立した不動産であるということです。
 ここで注意してほしいのは、土地に付着した物のうち建物を除くとそのほとんどが土地の定着物とはみなされず、単に土地の一部分とみなされることです。たとえば、地上の石や草木は、土地という不動産の一部分にすぎません。石垣や井戸のような工作物も、原則として土地の構成部分と考えられ、土地と別個の不動産とはならないのです。
 それでは、建物以外に土地の定着物として独立の不動産とみなされるものには、どのようなものがあるでしょうか。よくあげられるのは、テレビ塔や給水塔などですが、これらも、その構造上、それ自体建物とみなされたり、建物の一部とみなされることもありますから、必ずしも明確な基準があるわけではないのです。一般的な基準としては、取引観念上、土地とは別の財産として扱われているか否かを判断してきめることになります。
 このように、建物以外で土地の定着物として独立の不動産とみなされる物は例外的な存在ですから、以下、この木では、土地と建物に対象を限定して説明することにします。

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 土地は不動産の根幹をなすもので、建物をたてるための不可欠の基盤ですが、さらに、人間の居住・生産その他一切の活動の前提条件であるといってもよいでしょう。他方、土地は商品価格をもつ財産であり、土地問題は国民経済に重要な影響を与えます。土地は、次のような特殊な性質をもった商品です。
 土地は、限られた地表の一部分であって、人間の力で自由につくりだせるものではありません。土地をどのように利用するかは自由ですが、土地そのものは、一般の商品のように自由に生産することができません。
 土地は、運搬によって移動することができません。このことは、土地の利用に大きな制約をもたらし、過密、過疎の問題を生じます。
 以上のことから、土地という商品は、ひとつひとつことなる個性をもった商品であり、その取引は画一的な処理には必ずしも連していないといえます。他方、つねに全体的または地域的に需給のアンバランスが生じ、地価問題が深刻になります。
 これらのことがらは、土地の法律問題を解決するうえで直接的なきめ手とはなりませんが、法律問題を考える前提としては充分に考慮しておく必要があります。
 法律上で土地を問題とする場合、土地はまず、所有権の対象として考えられます。もっとも、土地はもともと連続した一面の地表をなしていますから、これを人為的に区画して、一つの所有権の対象となる一個の土地というわくをきめる必要があります。日本の法律では、このわくは、土地登記簿で一つの登記用紙に表示される範囲です。これを一筆の土地といいます。一筆の土地とは、土地の上に一つの所有権が成立する範囲なのです。そして、それが原則として取引の単位となります。
 しかし、この区画は人為的な区画ですから、取引の当事者が合意すれば、一筆の土地の一部分のみを売買し、その部分の土地所有権だけを買主に移転することも可能です。ただし、どの部分が売買されたかは他の人にはわかりませんから、他の人に示すためには、一筆の土地を売却部分と残余部分にわけて二筆の土地としてから、売却部分について所有権の移転の登記をするのが通常です。反対に、敷地にわかれている地つづきの土地を同一の所有者が所有している場合は、それらをまとめて一筆の土地とすることもできます。
 つぎに、一筆の土地がどのように表示されるかをみることにしましょう。隣地との境界にさくを設けたり、立札をたてたりして、土地の範囲や位置を表示することは実際にみられますが、法律上の表示の方法は土地登記簿の表題部への記載です。
 登記簿上、土地を表示し、特定するための主要な項目は、「所在・地番」、「地目」、「地積」の三つです。登記所にはこのほかに、土地の形状や具体的な位置どりを示すための地図があります。
 「所在」の欄には土地所在の郡、市、区、町村および字を記載するとされていますが、具体的にいえば、土地表示のうち地番を除く部分がここに表示されるのです。市街地では、通常、「○○丁目」までが記載されます。地番は、本来、一筆ごとに付せられ、「○○番」と記載されますが、各筆の地番が決定されたのちに分筆がなされると、それぞれ「○番○」と枝番号が与えられます。たと沈ば、「参番」の土地が二筆に分筆されると、「参番壱」と「参番弐」となるように。
 この土地表示のための地番は、各筆の土地に付せられた番号であって、住居表示の番号とは別個のものです。今日、市街地で一般にみられるところでは、土地表示は、「所在」欄記載部分については住居表示と一致していますが、「地番」欄については、別の番号になっています。これは、住居表示設定前の地番をひきつづき用いているからです。
 地目は、土地をその主要な用途に従って種別化する区分です。次の二一の地目に分類されます。
 田、畑、宅地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、墓地、境内地、運河用地、水道用地、用悪水路、ため池、堤、井溝、保安林、公衆用道路、公園、雑種地
 地目はその土地の主たる用途が客観的にみて変化した場合には、変更されます。登記簿上の土地所有者は、地目の変更について表示の変更登記を申請する義務を負い、それを怠ると過料に処せられます。しかし、実際には変更の登記がなされていないことが多く、他方、地目の区分そのものが今日の土地利用方法に必ずしも適合しなくなっているため、地目は、かなり形式的なものとなっていることも事実です。
 なお、「農地」という地目はないこと、他方、農地法の適用は、地目上「田」「畑」と表示されているか否かとは別に、直接に「耕作の目的に供される土地」であるか否かを実態に即して判断してきめられることに注意して下さい。また、後述のように、宅地建物取引業法でいう「宅地」は、登記簿上の地目である「宅地」とは別で、それよりはるかに広い概念であることも注意を要します。
 地積とは土地の面積のことです。水平投影面積によって平方メートル単位で定め、小数点下二ケタまで表示します。それ以下は、切捨てです。ただ、現在でもなお、尺貫法による表示が登記簿上に残されていることが多いので、よく注意する必要があります。通常、地積欄の下ニコマに「歩、u、(坪)」の文字が印刷され、該当文字に○印が付されていますが、これがないときは登記用紙の欄外などに「面積は尺貫法による表示」などの記載がないか、たしかめる必要かおるでしょう。この記載もないときは、平方メートルで表示されているとみてよいのですが、不審の点があれば登記所に問い合わせて下さい。
 地積として表示された面積が実際の面積と一致しているという保障はありません。市街地では、実測に基づいて地積の更正の登記がなされたり、分筆のため測量図に基づいて登記がなされた結果、登記簿上の地積と実際の面積が一致しているところも少なくありませんが、それ以外では若干の過不足かおるのがむしろふつうです。山林などでは、測量をしないで大よその見込みで地積を決定したり、古い文書に従って決定しているところがあり、その多くは、実際の面積よりも地積の方が少ないのが現実です。また、一筆の大きな土地を数次にわたって分筆していった場合、残余部分の地積と実際の面積がことなることが多いことにも注意して下さい。
 したがって、後述のように、土地を売買する場合には売買代金を登記岸上の面積に基づいてきめるのか、実測面積に基づいてきめるのか、それとも一括してきめるのかを明らかにして契約をしないと、とかくトラブルが生じがちです。
 土地の位置どりや形状については、登記簿では表示されないので、登記所備えつけの五〇〇分の一の地図を見る必要があります。しかし、この地図の備えつけは、法律によって定められてはいるものの、現在のところまだすべての登記所で行なわれているとはいえない状況です。この地図がない場合は、旧土地台帳付属の地図を利用するとよいでしょう。
 建物は、さきに述べたように土地の定着物として土地とは区別され、独立の不動産として取り扱われます。独立の不動産であるということは、土地とは別個に所有権の対象となり、登記がなされ、売買や他人のための権利の設定がなされるということです。
 他方、建物は、土地が存在しなければ存在することができません。また、土地を利用する権利がなければ、建物をその土地の上に適法に所有することができません。したがって、建物と土地が別個の不動産であるといっても、建物の所有とその敷地の所有とが事実上も法律上もまったく無関係であるということではありません。両者の法律上の関係は場合によってかなり複雑ですが、それについては後に述べます。
 建物についても、その個数は、法律上画一的に登記簿上の表示によって決定されます。一棟とか一軒という形態上の単位ではなく、建物登記簿で一用紙に登記されている部分が一個の建物となり、一個の所有権の対象となります。登記簿の一用紙ごとの表題部には、「所在・家屋番号」「種類」「構造」「床面積」「原因及び日付」の欄があって、これらによって建物の所在地や概況を知ることができます。
 「所在」の欄には建物の敷地の「所在・地番」が記載されています。家屋番号は、一筆の土地に一個の建物のみが存在する場合には、土地の地番と同一番号です。しかし、一筆の土地に二個以上の建物がある場合や、一個の建物が二筆以上の土地にまたがっている場合もあり、このような場合は、別に適当な番号が付せられることになっています。
 建物の主たる用途によって、居宅、店舗、寄宿舎、共同住宅、事務所、旅館、料理店、工場、倉庫、車庫、発電所、変電所に区分され、これらに該当しないものについては、これ準じて適当に定められます。
 構造は建物の主要な構成材料、屋根の種類、階数の三つの点て特徴をおさえて表示されます。それぞれの分類に入らないものについては、各分類項目に準じて適当に定められます。
 構成材料・・・木造、土蔵造、石造、れんが造、コンクリートブロック造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造
 屋根の種類・・・わらぶき、スレートぶき、亜鉛メッキ鋼板ぶき、草ぶき、陸屋根
 階数・・・平家建、二階建、三階建(以下同じ)
 床面積は各階ごとに平方メートル(小数点以下ニケタまで)で表示します。これは、室内面積の合計ではなく、外壁などの中心線(壁真といいます)で囲まれた部分の総面積です。土地と同様に、坪単位で表示されている場合が少なくありませんから注意を要します。
 建築年月日として、表題部には、登記原因とその日付けが記入されます。日付けは、原則として、建物の建築年月日が記載されていますが、実際の建築完成時点よりおくれることが少なくありませんから、建築年月日を正確に知るためにはこれだけでは不十分です。
 建物については、土地とことなる問題がいくつかあります。第一は、建物は人の手で築造されるものであり、動産である建築材料が建築の過程で一定の時点から不動産である建物に転化するということです。建物となる時点から、独立の不動産として売買したり、登記をすることができます。また、その時点から、債権者が差押えをする方法もことなってきます。
 建築材料のくみあわせがいつから建物となるかについては、法律上必ずしも明確な基準はありません。ここでは裁判所の判例にあらわれたところに従って、屋根がふかれ外壁が設けられた時点で建物となる、いいかえれば、床や天井がはられていなくても建物として登記することや売買することもできる、と考えておきましょう。
 第二は、一棟の建物であっても、その内部が構造上独立の建物として利用することができるいくつかの部分にわかれているとき(マンションの場合など)は、その各部分を独立の建物として扱うことができるということです。これを区分所有の建物といいます。区分所有の建物には、それぞれ独立した部分(専有部分)と、それらの共通の用益に供せられる部分(共用部分)があるのがふつうです。専有部分は、原則として通常の建物と同様に扱われますが、共用部分は、専有部分と別個には売却することも抵当にいれることもできません。共用部分は、専有部分の所有者によって共同で所有され、その持分は、専有部分が処分されるとそれとともに当然に処分されます。
 土地の場合は分筆によって問題が解決されますが、区分所有の建物については構造上共用部分が多かれ少なかれ存在するため、複雑な問題がのこります。また、中高層ビルになると土地との関係も複雑です。

土地
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