信託財産の運用がうまくいかない場合の受益権対する配当

 信託財産の運用がうまくいかない場合に、受益権に対する配当はどうなるのでしょうか。また、配当の保証をしてもらえないでしょうか。
 信託における配当は、実績により行われるのが原則です。信託業法には、運用方法の特定しない金銭信託に限り、元本保証・収益保証をすることができる旨定められています。
 これに基づき、現在、貸付信託・合同運用指定金銭信託についてのみ、元本の保証がなされています。
 したがって、土地信託については、受託者たる信託銀行は、信託業法第9条の規定により、収益はもとより、元本の保証はできないこととなっています。
 土地信託は賃貸ビルなどを建てて運用し、その運用益を受益者に配当することを狙いとしており、その配当は次のようになります。

 土地信託の配当=賃料収入−{借入金の返済元利金+管理費などの経費+公租公課<都市計画税・固定資産税>+信託報酬}

 事業計画の段階で、事業収支を十分検討し、採算が悪ければ、土地信託の受託を辞退することになります。
 なお、計画の段階では、賃貸条件の見直し、例えば、賃料を下げるかわりに、保証金を増すなど、等価交換方式の併用などにより借入金の圧縮をはかって、事業収支を改善することはできないかなどの検討・調査をします。
 以上のような対応にもかかわらず、赤字となった場合には、受益者の負担に帰すのが原則です。
 現実には、不動産会社・ゼネコンなどと業務提携を結び一括して貸し付け、それを不動産会社などが転貸運用することにより、実質的な賃料保証をつける場合など種々の方法で収益の安定をはかる努力をすることが、受託者である信託銀行としての責任と義務であると考えます。

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 受益権証書の一部の換金はできるでしょうか。そして、売却価額はどのようになるでしょうか。
 全部の換金ができるのはもちろん、受益権を分割して、一部を換金することもできます。受益権証書には、額面表示がされないので、割合表示で一部売却されることになります。
 受益権は、主として配当を受ける権利と、信託終了時に、運用財産の払い戻しを受ける権利からなります。このような土地信託受益権には、「不動産」の所有権としての側面と、「金銭債権」に類似した側面とがありますが、現時点では、前者の性格が強く、その価格も、不動産の持分としての価格を基準として、形成されるものと考えられます。
 すなわち、受益権の売却価格=(対象不動産の時価−借入金残高+剰余金)×受益権の割合
 なお、一抹の建物および敷地や区分所有建物および敷地(共有持分)などのように、通常の不動産流通市場で取引される類型の不動産をまるまる表象する受益権の売買の場合には、「不動産」としての性格が強まり、価格にもそれが反映されるものと思われます。一般には賃貸マンションなどの住居用は、採算性や借家法の面で、市場性が限られるのに反し、オフィスビルなどの業務用は、ビルのキーテナントや、機関投資家層からの購入が期待できます。
 信託期間中に相続が発生した場合は、どうなるでしょうか。
 信託の受益権が、相続人により相続されることとなります。
 この場合の受益権は、土地(建物が建築された後はその建物も含む)を内容としており、相続人は、土地や建物を、直接相続した場合と同様な結果となります。
 したがって、相続財産評価額は、土地と建物を各々「相続税財産評価に関する基本通達」により、評価した無尽合計額となります。
 この際、残存する各種の債務(建物建築費の借入金残、未払金利など)は差引計算されますので、相続税負担の軽減となります。
 相続人が複数の場合は、各人の相続割合に応じ、受益権証書を分割して、交付することもできます。
 また、相続が発生しても受託者が行っている不動産賃貸事業は、従来どおり継続されますので、相続人の方の手を煩わすこともあります。

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