土地信託制度の問題

 賃貸事業の成否は、不動産の個別性を反映して、立地条件、事業規模、借入金の多寡などに依存しているのが一般的です。当然のことですが、土地信託ならば、どんな物件でもうまくいくというわけではありません。
 仮に、事業化が可能としても、現行税法上、他の開発手法に比較して、不利な取り扱いがなされている項目があり、このままでは土地所有者の利用のインセンティブを阻害しかねません。
 立ち上がり期間における採算面への負担は大きく、土地信託の普及と発展の観点から、ぜひとも早急な軽減措置が待たれています。

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 さらに、土地信託が、宅地の流動化、再開発事業の促進に少なからず役立つことから、一定の条件に合致した事業に対しては、次のような優遇措置が認められてもよいと考えています。
 建物の保存登記にかかる登録免許税の軽減、 、土地、建物にかかる固定資産税および都市計画税の減額、建物についての不動産取得税の課税繰り延べ。
 土地信託が、複数地権者による共同事業、ひいては再開発事業の促進に効果的であることは、すでにご説明しました。
 しかし、市街地再開発法に基づく法定事業に、この方式が適用できるか否かは、残念ながら関係当局より、まだ最終結論が出ておりません。標準的なケースを想定してみますと、地権者全員からの信託による個人施行方式(信託銀行が個人施行者となる)が使われることと思われます。
 この適用が認められ、税法上の恩典、補助金の支給、公的金融機関からの政策融資の道が開かれれば、普及にはずみがつくことでしょう。
 公共的事業分野への民間活力導入が求められている現在、この信託制度は、有力な方策となり得ると思われます。財政面の負担軽減、人員の節約、住民サービスの向上に直結することから、過去の慣行にとらわれず、柔軟な発想で、ぜひ導入に踏み切って欲しいと考えています。
 土地信託の受益権は、信託終了時における土地、建物などという元本と土地、建物などの運用による果実、いわゆる信託配当である収益とに対する給付請求権であり、受託者である信託銀行の承諾を得て、譲渡可能なものです。
 しかしながら、現在では一般に、受益権投資へのなじみは薄く、売却したいときに、思うような買い手がみつかるのかという心配もないことはありません。受益権の実態が、債権的な性格を持ちながらも、貸ビルという不動産の権利を化体したものである以上、一般の不動産の譲渡と同様に、需給関係による価格の調整を経て、譲渡、換金されることはいうまでもありません。
 もっとも、その市場性となると、賃貸マンションなど住宅用は、採算性や借家法の面で制約が多く、おのずと限られてくるのに対し、事務所ビルなど業務用については、採算性も高く、ビルのキーテナント、生命保険会社、年金基金などの機関投資家層よりの購入が期待できることから、その市場性はかなり広いものと考えられています。
 いずれにせよ、当面は受託者である信託銀行が中心となって譲渡あっせんが行われると思いますが、この譲渡取引の普及につれて、ゆくゆくは、オープンな市場が形成され、だれでも簡単に、受益権に投資できるようになるかもしれません。
 土地信託は、土地所有者の資産の有効活用に、大いに役立つ魅力的なシステムといえます。その基本は信託銀行が専門家の立場で、賃貸事業を一括代行するものです。
 見方をかえると、ユーザーが魅力を感じるような賃貸空間の開発と事業収支に見合う賃貸料そして、行き届いた管理を提供して、初めて広範なテナント開拓が可能となります。
 それだけに、土地所有者の方々に、有効活用の最適プランを提供するだけでは片手落ちで、これと並行してユーザーの利用ニーズを絶えずつかみ、ユーザーの住居、事務所、店舗などの賃借による居住レベルの向上、当該事業の進展にも貢献できるように、用途に合った事業プランを工夫する企画力の向上、情報の蓄積、権利調整能力の向上、管理ノウハウの蓄積に磨きをかけることが望まれるところです。
 むしろ、ユーザーの希望にピッタリの土地をみつけ、この土地所有者に土地信託をすすめ、使い勝手のよいビルをつくらせるような、逆の取り組みも必要となってくるでしょう。
 すなわち、ユーザーサイドからのアプローチです。
 土地の流動化の促進、良質で安価な住宅の供給、土地の高度化、不然化の促進、都市環境の整備を軌道に乗せるには、土地の所有と利用の分離を押し進める手法の思い切った活用が望まれますが、これだけでなく、この手法を周辺から後押しするような施策が、並行して行われることも大切です。
 その意味で、例えば、借地法、借家法の見直し、賃貸住宅の流通促進のための、利用者への税制上の助成策(家賃の所得控除など)あるいは民間任意再開発事業への助成策の拡充などが望まれます。

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