土地信託のメリット

 土地信託のメリットをあげてみましょう。信託財産である土地は、信託終了後、建物とともに受益者(土地所有者)に返還されますから、土地を実質的に手放すことなく、有効活用をはかることができます。土地所有者は、土地を信託銀行に信託するだけで、土地の有効利用についてのノウハウや資金がなくても、実質的に賃貸事業を行うことができ、その収益を実績に応じて、信託配当として受け取ることができます。土地所有者は、有効利用について、自分の意思を十分に反映することができる一方、建設会社・金融機関との折衝、テナントの募集、建物の管理などに必要な手続き、面倒な事務は、すべて信託銀行が行うので、煩わしい手間がかかりません。万一、事業の途中(信託契約期間中)で資金が必要になった場合には、土地所有者は、信託受益権の全部または一部を、機関投資家に売却したり、あるいは受益権を担保に、必要な資金を借り入れることができます。事業を行うため、建設費などに充当した借入金は、税金の計算上、土地所有者の債務として信託財産から差引計算されますので、相続税もしくは生前贈与における贈与税負担の軽減がはかれます。テナントの募集および賃貸は、信託銀行が貸主となって行い契約するため、テナントは、管理面などで安心感を持ち、募集が有利にスムーズに行われます。
 信託銀行には、忠実義務、善管注意義務、分別管理義務、利益享受の禁止など法律上厳しい義務が課せられていますので、土地所有者の権利の保護がはかられ、資産保全上心配ありません。土地所有者が死亡し相続が発生した場合でも、土地信託で行っている賃貸事業は、なんら影響を受けることなく、そのまま継続し、相続人は受益権を相続のうえ、引き続き信託配当を受け取り、信託終了後には、信託財産としての土地と建物の交付を受けることができます。

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 土地信託のメリットのうち、土地所有者のもっとも関心の高い相続税もしくは贈与税負担の軽減について、具体的な例で考えてみましょう。

 <例>
「Aさんは時価5000万円、相続税評価額1500万円の土地を持っています。この土地を信託銀行に信託し、信託銀行は受託者として5000万円の借入金で、この土地の上に時価5000万円、相続税評価額3500万円の建物を建てたとします。」
 この場合の相続税評価額などを、土地を更地で持っていた場合と土地信託をして賃貸事業を行った後の場合とで比較しますと、次のようになります。
土地信託
 すなわち、「土地信託」を利用して賃貸事業を行ったことにより、相続税評価で1500万円も圧縮され、その結果、節税することができるわけです。
 これは、相続税法上、不動産(土地および建物)は、時価に比べてかなり低く評価されるのに対し、借入金はまるまるマイナスの財産として評価されるためです。
 実際には、土地は「貸家建付地」、建物は「貸家」として運用されることが多く、この場合は土地・建物とも、相続税法上の評価がさらに減額され、この節税効果はより一層大きくなります。
 なお、この節税効果を十分生かすためには、次の点に留意する必要があります。
 借入当初の節税効果は大きいのですが、借入金の返済が進むにつれて、その効果も次第に小さくなってしまいます。そこで、借入金残高が短期間に減少しないような返済の方法を選ぶ必要があります。まず、返済期間は長い方が有利です。次に、返済方法も借入金残高が長く存続する方式が有利です。つまり、元金均等返済方式よりも、元利均等返済方式の方がよく、さらに元本逓増返済方式の方が望ましいわけです。
土地信託
 次に、不動産事業から得られた収益を現預金の形で貯蓄すると、相続税の節税効果も減殺されてしまいます。ある程度の貯蓄ができれば、再び不動産など節税できる方法で運用することも必要でしょう。
 したがって、土地信託のこれらのメリットから、次のような希望をお持ちの方に土地信託をおすすめできます。
 先祖伝来の土地で、売ることは出来ない、売った場合税金が多額にかかるので、ほとんど手元に残らないなどの理由で、売却する考えはまったくないが、土地を有効に活用して現在よりも大きな収益を上げたい方。
 このままでは自分が死亡したとき、相続税が多額に課税され、不動産を処分しなければ、とても税金が支払えない状態になることが予想される方。そこで、今のうちに相続税を軽減するように対策を講じておきたい方。
 所有不動産を有効に利用して、賃貸事業による収益を将来にわたり安定して得たいが、賃貸事業のノウハウを持っていない。開発に要する資金調達の目処がたたない方。
 ビル事業などを始めたいが、まったく経験がなく、管理運営の手間が面倒だし、その時間がない方。
 信用のおけるところにまかせたい方。

 賃貸借契約にあたっての留意事項
 賃料収入の安全確実な入居者を選ぶこと。これはあたりまえのことですが一見簡単なようで実にむずかしく、それだけに大変重要なことなのです。
 具体的には、賃借人の入居申し込みの段階で確認する。現住所・氏名・生年月日・勤務先(通学先)・年収・連帯保証人の内容、並びに賃借人との面談調査などをもとに、長年の経験とノウハウをベースに判断することになります。
 トラブルを防止するため、必要な事項を明記した賃貸借契約を締結します(賃貸物件について、重要事項の説明・同説明書の交付、並びに、契約内容の説明・契約の締結・契約書の交付)この契約書は、万一、トラブルが起こったときの解決方法を取り決めておくためにも必要です。この契約書のなかで、具体的に取り決める事項のうち、主なものをあげてみましょう。
 賃貸物件の用途、例えば、住宅・店舗などで、それ以外の用途に変更する場合には、通常貸主の了解が必要です。
 契約期間住宅の場合、通常2年間が多い。
 月額賃料。
 共益費、廊下・階段などの共用部分の電気代・清掃費などです。
 敷金・礼金・保証金(店舗の場合)
 賃料の支払期日・支払方法、通常、前払いで金融機関への振り込みが多い。
 中途解約事項、契約期間中に、借主の都合により中途解約する場合の事前予告期間を取り決め、違反した場合、通常ペナルティーを課します。
 立入了解事項、建物の保守管理上、必要な場合には、借主の了解を得たうえで(緊急の場合を除く)賃貸物件内への立ち入りができるよう取り決めます。
 転貸禁止事項。

 なお、このような契約書の他に、これを補うため、より具体的な事項を織り込んだ管理規則を作成、交付することもあります。
 このように、良い入居者を選ぶよう努め、多数の約束ごとを明記した賃貸借契約を締結し、また、管理規則を作成・交付しても、例えば、賃料を相当期間未納したり、用途を無断で変更したり、カラオケなどの騒音で近所に迷惑をかけたりするような、けしからぬ借主があらわれることがあるものです。
 そのような場合でも、信託銀行が土地所有者になりかわって、ケースバイケースですべてのトラブルを適切に処理しますので、安心でかつ面倒がありません。

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