土地法制の在り方

 土地財産権についての歴史的社会的法則を念頭に入れた上で、土地法制の在り方はどのようなものでなければならないかを探究するならば、次のごとくに整理できるでしょう。
 第一に、土地財産権の保障は、土地所有権の保障より土地利用権の保障を第一義的に考えるべきであり、したがって土地法の体系は、土地利用権中心の法体系であることが望ましい。資本も労働も投下せず、単に自然物たる土地を所有しているという意味での土地所有権それ自体は、人間の生活にとり、また広く市民社会の公共の立場からみて何らの価値をもつものでなく、本来、それを保障しなければならない合理的根拠をもつものではありえない。それにもかかわらず、それが保障されるのは、商品交換社会において土地が商品として投資の対象となっているからであり、またそのかぎりにおいてです。その投資を一定限度保護しなければならないのは、商品交換社会の要請であるとはいえ、土地を人間生活や生産の基盤としてとらえる立場からするならば、投資の対象となる土地商品の所有権の存在は、あくまで障害となるものであり、その保障も最低限のものでよいはずです。

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 土地利用権を重視するか、それとも土地所有権を重視するかは、結局において、土地を人間生活や生産の基盤としてとらえるか、それとも土地を投資の対象としてとらえるかという、土地観をめぐる根本的対立に起因する。そして後者の土地観に立つならば、前述した土地の特殊性の下では、投資対象としての土地はしばしば投機対象としての土地に転化し、土地利用を撹乱し阻害する。それゆえ土地利用の障害物たる土地の投機的取引を押えるためには、さかのぼって、土地を投資の対象としてとらえる土地観そのものを転換し、土地を人間生活や生産の基盤としてとらえる土地観を確立し、土地利用権の保障を中心とした法体系を構築しなければならない。
 第二に、土地利用権の中では、生存権的土地利用権の保障を第一義的に考えるべきであり、非生存権的土地利用についての制限をきびしくするのが望ましい。財産権が近代市民社会において人権の中心たりえたのは、それが人間生存にとって不可欠なものであったという歴史的原点を現代土地法体系の中で生かすとすれば、土地利用権の中でも、生存権的土地利用権の尊重に重点が置かれるべきであることについては異論がないでしょう。
 ここで生存権的土地利用権というのは、農業経営の基礎を支えている農民の土地利用後、居住生活の基礎となっている都市住民の上地利用構、零細・中小の営業の基礎を支えている自営業者の土地利用権等を指しており、これらの土地利用権は、人権としての財産権である。これに対して、法人企業とくに大企業の土地利用権は、資本主義的財産権の一部を構成しており、資本主義社会において必要なものであるが、人権としての財産権ではなく、むしろ、しばしば、これと対立する。それゆえ、現代的生存権の理念に支えられた現代土地法の体系を構築しようとするならば、それは土地利用権の中でも、とりわけ、生存権的土地利用権保障の法体系として確立されなければならないのです。それこそが、現代民主主義憲法の下での土地法秩序の在るべき姿です。

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