土地財産権論

 近代市民革命の社会的担い手であった小市民層、独立自営農民において、土地所有と経営と労働とは三位一休であり、それゆえまた土地所有権と土地利用権とは未分離であり、このような末分離の土地財産権は、人間の生活、生存に欠くことのできない基本的人権でありえた。言いかえれば、土地所有権は、それが土地利用の基礎であり、且つ生産労働の基礎であるかぎりにおいて、人権としての絶対的な不可侵の財産権でありえた。

スポンサーリンク

 資本主義の展開に伴って農民層分解が進む中で、この三位一体の分離が進行し、一方で資本賃労働関係の成立により資本主義的財産権と労働者の生存権とが対立し、他方で経営と土地所有の分離により土地利用権と土地所有権とが対立するに至る。資本の法則が土地所有を従属させるプロセスで、土地所有権に対する土地利用権の保障が進み、土地所有権の自由は、その限りで制限される。この意昧での土地所有権の自由の制限は、資本の法則の貫徹であると共に、同時に土地利用権の保障一般の拡大にも資するものであり、資本主義の下における土地制度の近代化の方向を示すものであった。
 他方、資本主義の発達に伴う都市化、工業化の進展によって非農業用的土地利用が増大し、それと農業用的土地利用との競合、あるいは非農業用的土地利用相互の競合が深刻化するに至るや、土地商品市場において交換価値を追求する商品所有権としての土地所有権に内在する寄生的性格は土地投機の傾向を肋長させ、土地商品市場に対する国家のコントロールが必要となると同時に、土地利用秩序に対する規制もまた強められる。この傾向は、一九世紀からみられるが、二〇世紀の、とりわけ国家独占資本主義の下での全面的な土地計画行政の展開へと帰結し、公共の福祉による土地財産権の制限を一般化するに至っている。公共の福祉による財産権の制限は、現代資本主義の下での一般的課題であるが、その特殊性に規定されて土地財産権の制限は、他の場合以上に顕著です。
 ところで現代財産権が生存権的財産権と非生存権的財産権とに分けられるという一般的法則は土地財産権についても妥当する。土地所有権と土地利用権との関係においては、土地所有権の保障よりは土地利用権の保障が確立されることが、近代的土地法制の一般的前提であり、その意味では、土地財産権のうちの土地利用権が他の一般の財産権に相当する。そしてこの土地利用権が、生存権的土地利用権と非生存権的土地利用権に分けられるのです。前述の一般法則を土地に即していえば、生存権的上地利用権は、人間の生存を支えている財産権であり、人権としての財産権であるから、その侵害や制限には、慎重な配慮を必要とする。これに対して、土地所有権および非生存権的土地利用権は人権としての財産権ではなく、資本主義社会における私有財産制度に編入されているかぎりにおいて政策的に保障されている財産権であり、したがってまた政策的にその自由を制限されうる性質のものです。しかも、その制限の程度は、土地の特殊性に規定されて、他の財産権の場合よりもはるかに強いものにならざるをえないこと前述のとおりです。

日本の土地法制/ 土地法制の確立/ 土地法制の変貌/ 戦後の土地法制/ 戦後の都市化と工業化の土地法則/ 国総法・国土調査法・都市関係法/ 土地収用法/ 不動産登記法と住宅法制/ 農地法制/ 都市関係・工業立地関係法/ 土地収用関係法/ 住宅・宅地法制/ 農地法制・林野法制/ 新全総から日本列島改造政策/ 新土地計画法と関連法/ 農地関係法/ 地価対策/ 土地法制の政策の転換/ 土地財産権の一般法則/ 土地財産権の特殊性/ 土地財産権の構造/ 土地財産権規制の根拠/ 土地財産権論/ 土地法制の在り方/ 土地所有権主義中心の転換/ 土地
日本の土地法制/ 農地法と農地転用/ 土地収用法による土地財産権の補償/

       copyrght(c).土地の買い方ガイド.all rights reserved

スポンサーリンク

プライバシーポリシー