土地法制の政策の転換

 新全総・日本列島改造政策は、昭和四〇年代の末には、その成長至上主義・企業優位の開発第一主義がもたらす諸矛盾を爆発的な形で露呈し、国民経済の不均衡、国土と国民生活の破壊、急激なインフレとおそるべき地価の暴騰をもたらし、国民の強い不信を招いた。国土と環境の破壊は過密日本で最も「先進的」に進行し、国連環境会議でも注目され、「かけがえのない地球」への反省がせまられた。エネルギー危機を契機に世界的に情勢が大きく変化する中で、国際石油独占資本に従属して単純にエネルギーを石油に転換した日本資本主義経済の体質が問われ、高度成長の神話も崩壊し、不況そして低成長への転換を余儀なくされた。海洋法会議などにみられるように海洋資源に対する国際的規制は強化され、海洋資源を安易に乱開発してきた時代は、今や世界的に終ろうとしている。エネルギー資源についても同様です。総合農政下で、国際的分業論を展開し食糧自給率の低下を辞さなかった農業政策は、これまた世界的な食糧問題の危機を迎えて完全に破綻し、農業政策の根本的再検討をうながすに至った。
 この二、三年間の、はげしい変化の動きは、戦後日本資本主義の在り方を根底からゆさぶるものであり、またそれによって規定されてきた開発政策・土地政策に対する根本的な問いかけを提起するものである。日本列島改造政策の破綻は、しだいに国民の前に明らかとなり、田中内閣は退陣を余儀なくされた。かくて、土地政策と土地法は、大きく変わらざるをえない。しかし、どのように変わらなければならないか、その変化の方向はまだ定かではない。

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 昭和四九年の国土利用計画法(国土法)は、この変化の過渡期に制定された。その立法過程において、当初の案が国土総合開発法の改正案として出されたのに対し、野党諸党のみならず、各地方自治体、一般国民、マスコミ等からも批判が出され、結局、開発部分を除き、国土利用計画の部分のみを残し、名称も衣がえし、共産党を除く与野党の妥協の産物として制定されたものです。
 国土法は、当初は、新全総、日本列島改造政策のいわば総仕上げとして出されてきたものであり、その意味では、昭和四〇年代までの土地政策および土地立法の総括としての側面をもっていた。この側面は、新国総法案から国土案へ衣がえしても基本的に引きつがれている。他方において、それは、前述のとおり変化の過渡期にあらわれ、国家や総資本の側からいっても、また国民や野党の立場からみても政策の転換が不可避な段階に登場したものであるため、単純に従来の路線の延長線上にあるものでなく、その路線転換をある程度反映している。その意味では、国土法は、昭和五〇年代以降の新しい土地立法の出発点としての側面をもっている。
 しかし、全休の変化の方向が定かでない下で、国土法の役割もなお依然として定かでない。それのみならず、旧全総、新全総、日本列島改造政策と、高度成長下で企業本位の開発政策が展開する中で積み重ねられてきたさまざまの土地立法が廃棄ないし修正されたわけでなく、今なお現実に存在している。したがって、土地法体系は全体として、従来の古い理念のままにとどまっている。全体としての法体系がそうであるならば、国土法もそれに規制され、その一環として機能せざるをえない。
 しかも、政策の転換は、状況の変化に伴う転換であって、政策主体が、国家権力を掌握する独占資本であることに何ら変わりはない。そうであるかぎり、政策主体の側から、自発的に、法理念の転換を伴うような政策転換を推進することは、まずありえない。そこで、国民の側から、その転換の方向を先取りし、新しい法理念の確立を要求し、その要求が実現するよう力を合わせて努力しなければならないであろう。

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