戦後の都市化と工業化の土地法則

 朝鮮戦争を境いとして戦後日本経済は立ち直り、昭和三〇年の前半までに戦後改革をふまえた戦後独占の新たな形成が完了する。土地法制についても、占領も後期に入る昭和二〇年代後半から三〇年代前半にわたって、この戦後独占の形成にみあった、あるいはそれを支える土地法制、開発法制が展開し、戦後土地法制の基礎固めが完了する。ほぼ昭和三〇年を境いとして、戦前の生産力を回復した日本経済は、それ以降、急速に高度成長へのみちを歩み始め、その過程で、長打から都市への人口移動(労働力流動化)が進み、戦後改革における制度的近代化の基礎の上に社会構造的近代化か進み、それに伴って上地制度も、それにふさわしいものに再編されるに至った。都市化・工業化が進み、日本社会が農業社会から工業社会へとしだいに転換してゆく中で、土地権利関係もいちじるしく流動化するようになった。土地問題はかつて無業問題の一環とみられていたが、昭和三〇年代に入ってから都市の土地問題が徐々にクローズアップされ、企業の土地に対する関心も増大し、土地に対するかつての地主の要求に代るものとして、資本の要求が前面に出るに至った。企業の土地への関心は次の三点に要約できる。

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 第一に、資本家あるいは企業にとっては先ず、土地を取得することが経済再建やさらに高度成長の前提であった。企業は土地を取得しその上に設備投資を重ねて高度成長への途を歩んだのである。また企業が「含み資産」として土地を取得する傾向も昭和三〇年代からしだいに見られるようになった。かくて、企業がいかにスムーズに且つ安く土地を取得することができるかは、個別企業にとっても重要な関心事であった。
 第二に、総資本の立場からみて、社会資本の整備ということが決定的に重要であった。道路、鉄道、港湾等の社会資本が整備されなければ経済再建や高度成長も可能とならず、しかもわが国は他の発達した資本主義国と比べてこの面での立ちおくれがいちじるしかったから、まず社会資本を整備することが、これまた高度成長へと進むための基本的前提であった。そしてそれを整備しようとすれば、まず最初に当面するのが土地問題であることはいうまでもない。この面からも、企業の土地取引に対する関心が高まり、資本の側からの土地制度への要求が出された。
 第三に、担保価値としての土地の機能の重要性があらためて注目されるようになった。企業に対する生産金融のみならず、後述のごとく戦前と異なり戦後の住宅が、政府の持ち家政策に支えられ、持ち家を中心として発達したために、新しく住宅金融の需要が激増し、これら生産金融・住宅金融をつうじて担保価値の把握をめざす金融資本の要求もまた増大した。
 こうして、戦前は基本的には地主階級の要求によって編成されていた土地法制が、戦後改革を経た昭和三〇年代の半ばまでに、資本の要求に即し、資本の法則にしたがって再編成され、戦前と異なる土地法体系の基礎を固め終った。そして、この基礎の上に、昭和三〇年代後半以降の高度成長の全面的展開とその下での土地法制の全面的整備が可能となるのです。

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